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【コラム】筒井書房「必携」の軌跡から、社会福祉分野について考える。

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コラム
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福祉関連書籍、特に社会福祉士の試験対策の辞書代わりにされていた必携社会福祉士。「必携」シリーズは

ノーマライゼーションだの、インクルージョンだの言われている時代を駆け抜けてきた必携。

2014年第26回くらいまでの社会福祉士の受験者の皆さんにとっては印象深い参考書ではないでしょうか。私としても並々ならぬ思いがあります。単なる辞書的な感覚ではなく、各用語の解説には独自の解釈がなされ、その解釈には全てうなずけるわけではなく、2009年の当初でさえ「なんだこれ」と思うものがあったし、論点によっては、受験者側としても疲弊しているのに、著者にも疲れが透けて見えるようなややぞんざいな内容もあった。当時はこれに怒りを感じたりしていたこともあったけれど、今思えば著者とともに腹をえぐられる思いで受験勉強していたことになつかしさを覚えます。この本は、それだけ真摯に制作されていたのだと思います。

私が受験をしたのは2009年、平成21年の21回でした。筒井書房の倒産は2016年なので、

2016年 筒井書房倒産

2017年 厚生省 社会福祉関連国試の値上げ(倍額)を発表

2018年 第30回以降、社会福祉士の受験者は減り。第29回の頃と比較すると約1万人が受験しなくなった。

と整理されます。大手予備校関連の書籍にとって代わったのだろう。

筒井書房はいい出版社だった、いやー素晴らしかった!で、終わるのではなく、今後このような出版社はもういないということ。

訂正・修正をwebで発表し シレっとしている現状は全然だめなんですよということ。

たしかに福祉はカテゴリーです。業種としても、社会的な見方としても。

しかしそれに関わる客層は常に一定で、ここに他のカテゴリーと異なる面白味と辛さがあります。

一度関わっても飽きたら出入り自由で、ハイ、さようならという客層ではなく、

私たちのお客様は、

生きるのに誰かの助けを必要とするし、

そのこと事態にも辛さを抱えている方

一人では考えるのにはもはや限界が来ている方で、 

そもそもサービスの利用やプログラムの利用に前向きではない方もいるのです。

これが福祉カテゴリの客層だということを私達社会福祉士に限らず、福祉関係者は多分みんな、肌で感じて、自然に知っています。

やりたくない、したくないって言ってるからねー、とバッサリ切るのは簡単なのですが、

家から出てこない、生存しているかも不明なご本人の家のドアノブへ毎日食糧を届けてみたり

日によっては何時間も電話対応になってしまったり

サービスを利用する本人に限らず その周囲に目を向けて改善していく

そういう日々が社会福祉士の業務の実際と中核なのです。

しかしそのことを改めて考えることはほぼないといってよいし、このような時間の中で事務所に帰って記録を作成していなければそんな時間も余裕もあまりないのが悲しきかな現状かもしれません。

国家試験となっている資格はどのようなカテゴリーの業種であってもとても難しく、日々の仕事にも議論や研鑽の日々となることが多いです。社会福祉士はそんな中で業務を独占するものはありません、

だからこそ、すさまじい速度で変わりゆく利用者像、世相を読み、大局、福祉のかじ取りをこそこそと行っていくことを得意とし、権威ある士業の皆さんなどのフォーマライズされた部分とご利用者様個々人のインフォーマルな部分まで、すっと入っていて業務独占的な劇薬はもっていないけれど、

花の寄せ植えのように 組み合わせの仕方で 問題の抱え方を変えていく。

今ある手玉を色々な角度から見て特徴を知りつくし ある時は具体的に、ある時は抽象化してファジーに解決を目指して 自分自身もまた一人間としていきていく。

その深みを感じた専門職たちがまた一私人として戻っていくときに 筒井書房様のような編者の見えるような出版社様の本を改めて読んで脳内で喧々諤々やっては風呂入って寝るみたいな。福祉職の援護射撃をしてくれる、ある意味で大人の第二の青春を応援してくれるような出版社に 何かできることはあったのでないかと悔やまれます

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