スポンサーリンク

『福祉行財政と福祉計画』要点のつかみ方とレポートの書き方を解説!

スポンサーリンク
受験資格取得編
スポンサーリンク
スポンサーリンク

『福祉行財政と福祉計画』要点

午前科目(共通科目)で7題の出題です。科目名から取り組みづらさを抱いて勝手に苦手科目にしてしまう方がいますが、社会福祉士国家試験において問われるところはほぼ決まっていて、点数の取りやすい科目ですので、前向きに取り組みましょう。福祉財源や財政の動向が頻出となっております。財源に関しては応益応能負担をベースに勉強を進め、各福祉施設等の法的根拠や設置場所をおさえましょう。財政の動向については地方財政白書を参照して、国・地方を通じた財政支出状況(4:6で地方が多い)、国内総生産に対する公的支出の割合(GDP比25%ぐらいで、地方が国の4倍くらい)、租税収入(増加していて105兆円いかないくらい、国税の方が多い)等を確認しておきましょう。

福祉行政の実施体制

1999年に地方分権一括法が制定されて以降は地方は国の下級機関という関係が終わり、対等な関係と法律上はなっています。つまり、地方の果たすべき役割は相対的に増えることになったということになります。これを踏まえてか、国試の出題傾向も地方を中心とした出題となっていますので、地方を重点的に対策していきましょう。

都道府県と市町村の関係把握から地方公共団体の範囲を把握する

市町村間の連絡調整を行う都道府県と住民と直接やり取りする市町村の基本的役割を踏まえた上で、地方公共団体(一般的に言われる地方自治体)の種類として、普通地方公共団体〔都道府県、市町村 ・ 政令指定都市(人口50万人以上の市)と中核市(人口20万人以上 の市)〕と特別地方公共団体(特別区、地方公共団体の組合、財産区、合併特例区)をおさえる程度で事足りると思います。ここで気を付ける必要があるのは、実質的には特別区は東京都23区であり、他で聞く「行政区」とは異なる点です。出題には直接的に影響でないと思いますが、単純に知らないと恥ずかしいので注意しましょうね。

地域主権改革一括法

2011年に制定されました。この法律によって、介護保険施設や児童福祉施設、障害者支援施設等の設備および運営の基準が厚生労働省令から都道府県の条例で定められるようになった。冒頭の1999年の地方分権一括法の煽りですね。具体的には下記のようになっています。

  • 老人福祉法…養護老人ホーム、特別養護老人ホーム を 「都道府県の条例」で定める
  • 介護保険法…指定居宅サービス、指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、指定介護予防サービス、 基準該当居宅サービス、基準該当介護予防サービス を 「都道府県の条例」で定める。指定地域密着型サービス指定地域密着型介護予防サービス ⇒を「市町村の条例」で定める
  • 児童福祉法…児童福祉施設 を「都道府県の条例」で定める
  • 障害者総合支援法…障害者支援施設、障害福祉サービス事業、地域活動支援センター、福祉ホーム を「都道府県の条例」で定める。

福祉財源(応益・応能負担)

ここがこの科目で最も頻出かつ重要箇所となります。このほかに福祉財源についても重要だとも考えられますが、ざっくり言えばすべて税金なわけです。これを踏まえると当然モラルハザード対策として導入されている応益・応能負担制度についてが重要となります。応益負担は今の世の中のサービスの主流で、サービス利用に応じて一定割合を負担するもの。応能負担は、福祉サービスの主流で利用者の負担能力に応じた額を負担するものです。

ざっくりいうと、保育所利用(行政契約)、生活保護制度、措置制度、障害者自立支援給付は応能負担、介護保険制度等が応益負担にあたります。

福祉行政の組織及び団体の役割

各福祉施設等の根拠法や設置場所についての項目です。ここも頻出ですので概要だけさらっておきましょう。

福祉事務所…社会福祉法に規定、都道府県・市(特別区を含む)は必置。町村は任意設置。

児童相談所…児童福祉法に規定。都道府県・指定都市は必置。児童相談所設置市・特別区は任意設置。

婦人相談所…売春防止法に規定。都道府県は必置。指定都市は任意設置。

精神保健福祉センター…精神保健福祉法に規定。都道府県・指定都市は必置。

身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所…各障害者福祉法に規定。都道府県は必置。指定都市は任意設置。

レポート例:地域福祉計画の目的、意義などを簡潔に整理し、市町村の地域福祉計画を事例に取り上げ、地域の課題解決に向けて分析・考察しなさい。

ポイント:計画という言葉が一人歩きしないこと。計画とは人と人の話し合いの末に成立するということを念頭に置いて、記入をしていかないと自分で何を書いているかわからなくなります。

2000年の社会福祉法成立によって、地域住民は地域生活の主体であることが明確になった。同時に、同法で市町村の福祉サービスの提供体制の確保等に関する国及び地方公共団体の責務についても明文化され、地方自治体の役割も従来の福祉サービスの「提供者」という位置から、契約利用制度のもとで「管理者」として変化した。これに対応しその責務を具体的に目に見える形で示すのが地域福祉計画といえる。地域福祉計画の目的として、1、価値の共有、2、計画の統合化、3、利用者の利益保護を図るための事業の整備確保という3つの点が挙げられる。1について、上述の法改正等によりローカルガバナンスはより浸透し、福祉サービスを担う民間団体・機関および個人は多元化している。よって地方自治体には地域福祉行政の主たる担い手として、地域の福祉を担う人々が行動の拠り所とする指針、その地域の社会福祉政策に関する目標などの「価値」を共有することが必須である。2について、既存分野ごとの計画を統合し、住民参加等を通じて利用者を中心にした提供体制に組み直し、同時に相対的に遅れている施策も明らかにする。3について、各分野の計画に収まらない横断的内容である利用者の利益保護に関する事業の整備目標やその手順を示す。これらを踏まえ、当該計画策定で盛り込むべき事項は、①地域における福祉サービスの適切な利用推進に関する事項、②社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項、③地域福祉に関する活動への住民参加の促進に関する事項を盛り込むべきとされている。
私の暮らす杉並区では、地域福祉計画を「杉並区保健福祉計画(平成30~平成33年度)」の中で定めている。その中では、(8050問題)等、制度の狭間で従来の公的福祉サービスでは対応しきれない課題があること示し、近年増加傾向にある複合・複雑化した生活課題を受け止めるより強い支援体制の構築が必要であるとしている。これに対し、平成30年4月より 在宅医療・生活支援センターの開設を行い、高度困難事例は専門家の知見も踏まえて、各相談機関の相談支援を後押しする体制が作られた。また、「地域福祉活動の参加促進の仕組みの充実」の項目で新たにゲートキーパーやフレイルサポーター等の地域人材の育成も盛り込まれている。確かに地域生活で困難を抱える方を、区役所等の職員が速度感をもって対応することの困難さや、継続的な関わりも視野に入れれば、地域住民の知識を深め、互助での対応力を高めることは必要である。ただし、互助で対応しきれない部分、高度困難事例を抱える世帯等に住民が出くわした場合、「対応した」住民がどのようにフォローを受けられるのか、より具体的な説明が必要であると思う。地域人材として育成された住民が安心して他者に声掛けできる、体制づくりが明確にあれば上述した育成についてもより多くの住民が関心を示すのではないかと考える。(©mhotsuma 無断転載禁止)

コメント

タイトルとURLをコピーしました