こんにちは。今回は『相談援助の基盤と専門職』について、書いていきます。
この科目は、午後試験(専門科目)で7問の出題があります。決して多くはないですが、仕事をしていく上での基礎となる部分ですし、ここが抑えられていないと、どの組織にいっても通用しませんので長い目で見ても大切な部分であることを意識して取り組んでいきましょう。
『相談援助の基盤と専門職』要点
他教科と比較してもこの科目はあまり幅も広くなく、勉強のしやすい科目です。
国試対策としては3つ
を見ていけば十分でしょう。
しかし、レポートを作成してみればわかると思いますが、文字面だけでの理解ではどうしてもうまくいかないことが出てくる科目でもあります。特に、科目内にある「専門職倫理とジレンマ」においては、社会福祉士であり、利用者を守る立場でありながら、組織や社会における責務もあるという立場の難しさにおいて、ジレンマを感じた場合にはどのようにふるまっていけばよいかという部分にも言及しています。しかし、結局は文字面で考えていくだけでは本当の理解には行き着かない箇所でもあり、この点に関しては熟成していく科目ともいえます。
ちなみに文字面としては、「実践現場で、倫理綱領に反する行動が求められることがあった場合、倫理綱領を優先すべき」と考えられている。とされています。結局は自分の立場を顧みて、一番身近なルールを守れということなのですが、私もそれが結果的にクライエントの利益の最大確保につながると考えます。ただそれが、自分が一、マネジメント担当者だった場合も同じような動きがとれるかというと、難しい側面もあります。例えば福祉事務所からの委託として、社会福祉士として相談業をしている場合、件数の獲得のために、プランを省略せよという促しがあった場合、所属組織より、単価の高いクライエントを中心に支援していくようアセスメントから支援実施までのの本質を捻じ曲げるような依頼がきた場合などが、これにあたります。これに関しては、前に記載した記事「4象限のマネジメントを活用して、広い目線で支援しよう」に当てはめて言えば第2象限以降の問題でもあり、こういう促しや依頼がそもそも来ない(発生)しないように、事業を運営していくという視点で見れば第3象限の課題ともいえます。ただ、実際にこうなった場合、専門職のマネジメントを担う立場としてはどのような立場で依存先である組織や委託元からチームを守るかが、とても重要な論点となってきます。これについてはまた別記事で記載していきますね。
では、国試対策として、1社会福祉士の役割と意義は基本的なところなので、残り2点を確認していきます。
相談援助の概念と範囲
ソーシャルワークの定義(すなわちケースワークの定義)、グループワークの定義を把握します。ソーシャルワークの定義は基本的なのでテキスト通り読み進めれば難しくないでしょう。グループワークは、ソーシャルワークの一環として効果的な取り組みとして、最近(実はかなり前からですが)注目されています。グループワークとしては、ジゼラ・コノプカ(Konopka,G)のグループワークの14基本原則を抑えておくと良いです。コノプカはグループワークの葛藤に着目してグループワークを論じています。グループワークについて言及した方としては、シュワルツとトレッカーも有名ですが、双方ともに相互作用、交互作用の視点であって、出題しにくいと考えます。
相談援助における権利擁護
簡単に言えばアドボカシーですね。共通科目において権利擁護がありますが、もっと広い視点でクライエントの保護について言及している箇所です
根本的なところですが、アドボカシーとは、社会的な差別偏見などによって自分で権利を主張することがもはや困難となった方を擁護するために代弁者(支援者)が代わりに伝えていけるよう支援をすることです。アドボカシーの在り方って、一般的に代わりに言ってあげるというものを強く意識する傾向にありますが、それはケースアドボカシーであって、セルフアドボカシーとかピアアドボカシーの観点からすれば、むしろ主張を自らの権利として組み立てていく過程に比重を置いているものもあることは忘れないでください。
したがって、支援者はどのアドボカシーの形式をとったとしても、その専門的見地から情報公開や説明責任を行い、クライエント自身が決定していくように支援していく必要があるというわけです。
それでは、レポート課題に取り組んでみましょう。
ソーシャルワーク理論における「エンパワメントアプローチ」の内容について説明したうえで、それに基づく実践的課題について論じなさい。
ポイント.エンパワメントに関する教科書からのキーワード記入→実践的課題には必ずしも支援者とクライエントがわかりやすく分かれる場面に限らずセルフヘルプグループ等に焦点を当ててもかける。
他方で、上述した『12のステップ』のように、一定のプログラムさえあればセルフヘルプグループは不要であるという意見や、ステップ中に度々表現される『神』という文言に、信仰の強要をされるようだと感じ、懸念してしまうという意見もある。しかし、当アプローチ以前に認識そのものが他者との比較により初めて存在するという本質的なところからも、プログラムそのものが相互作用の中で初めて効果を発揮するものと考える。『神』という表現については、話し合いを重ねる場そのものへの信頼と捉えられ、その中で得られる力こそが、当グループの表現している『神から得られる、ハイヤーパワー』であり、エンパワメント過程によって得られる問題解決だけに留まらない、人間的成長と捉えられる。(©mhotsuma 無断転載禁止)
社会福祉士が専門職として成立するための要件について説明し、専門職として確立する上で抱えている課題についてまとめなさい。
ポイント.古典的テーマですが、今に至るまで出るということは、かなり重要テーマです。倫理綱領と組織の目指すものは違います。その時あなたはどう考えますかという所、ジレンマを味わいとできるかどうかが、社会福祉士であり続けられるかのカギです。
まとめ
この科目は、冒頭にも話しましたが、社会福祉士になってからもとっても大切なテーマとなります。当時大学生だったころの私は、寺谷隆子教授(当時)の援助技術論において、「社会福祉士の専門性は、その、非専門性にある」と聞いて、頭をガーン😨と打ち付けられた思いでした。なにじゃあ、ただの素人ってこと?って思ったのではなく。笑 どこまでいってもクライエントと横並びで居られるよう努力できる専門家ってことなのかな。と当時は解釈した覚えがあります。世に出れば、権威権力、力のある人は本っ当にたくさんいます。ただ、反面で、目の前の人が一定に落ち着くまで、傍で支えられる仕事は、かなり少ないです。
社会福祉士の綱領にはそれがつまっていると感じています。生涯、学びですし、社会福祉士として古典的なテーマといわれる部分に関しても、この大きな時代変革においてまた一つ、考えていく必要があるとも思います。
寺谷隆子先生についてもう少し知りたい方向けにリンクを貼っておきます。
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