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『人生の最終段階におけるソーシャルワーク』について考える

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支援場面
出典元:https://www.irasutoya.com/
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人生の最終段階を支援する(ACPの考え方から)

こんにちは、現職の支援場面では、医学的知見において人生の最終段階と常に隣りあわせだろう方を日々支援している私にとって、人生の最終段階における支援ってなんだと考える機会が昨年末頃にありました。その時は、本をいくつか読んだりして、ACP(アドバンス・ケア・プランニング、以下、ACP)って言葉に触れました。終末期ケアとどう違うのだろうと考えていましたが、終末期ケアはその具体的なケアをいうのに対し、ACPは過去の本人の様子や意思の表出、その時々の言動や表情、現在そしてこれから先の状態を見て、身近にいる方が本人の人生の最後をともにプランニングしていくという考え方でした。これは、単なる最期の迎え方について一度だけ話し合おうということではなく、なるべく短期間に繰り返し本人の要望やプランを打ち合わせることで本人の意思決定になるべく近いものを選んでいくというプロセスも特徴的でした。私としては、要するに意思決定支援なのだと解釈しました。終末期ケアに関しては語られて久しいのですが、ACPは最後に蘇生を試みるか否かとかいう話ではなく、もっと本人主体で考えることに意義があり、厚生労働省の示すガイドラインも平成30年3月14日に改定される等、まだまだ熟していない議論でもあります。

ただ、この論点について考えることは、「人は死ぬ」ということに関して、いわゆる本人主体で考えていくことであり、医療はもちろん、本人の苦痛を和らげることに全力を注ぐわけなので、私たち社会福祉士(もしくはMSW)なども協調して考えていく問題かもしれません。その時にまとめたメモをみつけましたので、掲載しておきます。今後このようなテーマの論文も増えるかもしれないので是非ご参考にしていただければと思います。

『人生の最終段階におけるソーシャルワーク』について、まとめてみる

掲題を論考するにあたり、厚生労働省の示すガイドライン、そしてACP(アドバンス・ケア・プランニング)についてふれることは必須と思われたため、これらに関する現状について示したうえで、最終的に医療社会事業専門員に何が求められているかについて考えていきたい。
厚生労働省は昭和62年度から概ね5年ごとに「人生の最終段階における医療」について検討し、平成19年には「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を策定した。しかし、当時は終末期医療に関わる人全てに限定したものであった。平成26年に「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」と改称し、その対象についても疾病等により、医療の介入で回復の見込めない方向けに対象を広めた。平成30年にはこのガイドラインは更新され、新たに英国の国民保健サービスが重点として取り組んでいるエンド・オブ・ライフ・ケア(医療の介入をもって回復の見込めない方の生活の質の向上)の政策の柱であったACPの内容にも触れ、話し合いを中心とした患者様の自己決定尊重の重要性について示している。ACPの重要な点は、医療の現場における重点的な取り組み、DNARやADsなどの事前指示とは異なり、1、話し合いを中心としたものであること2、患者様の一般的な価値観やゴールにも焦点を当てるということにある。これまでの意思表示や事前指示は端的に延命治療及びその処置に関するところに特化していたため、一人でも簡潔が可能であったが、ACPにおいては、本人が最終的に意思表示や決定を委ねたい方とともに話し合うことで形作る必要がある。
ACPを導入することが検討される段階の患者様に対し、医療社会事業専門員に求められるのは、患者様の権利擁護、つまりは意思決定やその表示を支える支援と言える。まず重要なのは、医師や看護師からの助言に基づき患者様の疾病の軌跡を把握し、そのうえで今後本人に起こりうる問題を理解するよう努めることが必要である。例えば、疾病が『癌』なのか『認知症』なのかにより、その予後や意識レベルの低下に差があることから、医療社会事業専門員が医師等による情報提供に基づいてその状態の適宜理解に努めることで、段階に応じた話し合いの準備ができる。また、事前にこれを把握していれば患者様自身の示す意思表示の正確性を図ることの参考ともなり、結果的に本人の権利侵害を防ぐ機能もある。これを踏まえ、今後病状で起こりうる不便さや課題を説明し、本人の同意を得ること(インフォームドコンセント)を丁寧に行う。患者様の意思表示が十分ではない場合、親しい友人や親族等と連絡を取る等、その能力を強化(エンパワーメント)することも必要である。契約行為等については、成年後見制度の利用を、入院中で経済的に困窮する場合は生活困窮者自立支援法を根拠する窓口(自立相談係等)と連携して、貸付制度を利用したり、傷病者世帯として生活保護制度の利用も視野に入れて必要な支援を調整していく必要もある。患者様の利益や健康維持に向けて必要な環境調整を行うことが業務の中心であることは他の患者様とも大きな差はないが、本人の体調や両価性の中で意思表示や事前指示は可変性があることを念頭に置きながら、話し合いの機会を複数回作り、本人や親族や親しい友人等の納得のいく意思決定を支える取組みが当段階のソーシャルワークと考える。(©mhotsuma 無断転載禁止)
(参考文献)
1.臨床ダイジェスト 小川朝生「高齢者・意思決定支援」(https//sp.m3.com)取得日2019.12.10
2.西川満則ら『本人の意思を尊重する意思決定支援』(南山堂)

具体的に何をしていけば学べるか(終末期ケア専門士の紹介です)

私の現職は医療機関でもあるため、こういったご時世ですので、どうしてもお亡くなりになった方の処置の方向性に行きがちで、ゆっくり学べる暇がありません。
そこで最近は『終末期ケア専門士(一般社団法人日本終末期ケア協会)』という認定資格の勉強を通じてその具体的ケアの方法から、ACP寄りの意思決定支援に関しても深く学ぶことができることがわかりました。終末期ケア専門士→終末期ケア上級専門士→JTCAアドバンスインストラクターとステップアップできるようで、段階を踏むにつれて具体的ケアから伝える人、育む人へと発展していけるプロセスは魅力的です。個人的には、相談業が主なので、「伝える」という力の強化にはもってこいです。気になる方はぜひ一度見てみてくださいね。

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