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『現代社会と福祉』要点のつかみ方とレポートの書き方を解説!

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受験資格取得編
出典元:http://flat-icon-design.com/
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今回は現代社会と福祉について解説します。

この科目は、いわゆる歴史的な話から、現在の制度ができるまでの政策等もカバーする範囲の広い科目です。しかし、ここに気を取られていると、大切な局面と見逃し、点数云々以前に何を勉強しているのか、なんのために勉強しているのか、迷宮の森にたちまち入ってしまいます。

暗記合戦のような局面もありますが、これは得点が伸びてきて直前一か月くらいに詰め込めば十分だし、最近のトレンドではないので、深刻にならずにいきましょう。

それよりもこの科目で重要なのは、福祉政策の現代的課題です。ここは出題範囲も広く、最近の制度政策がカバーできない課題が盛りだくさん。

今年(2020年)の六月くらいまでの制度についてはしつこくマークしていきましょう。

『現代社会と福祉』要点

上述の通り、福祉政策の現代的課題が重要テーマで、まずはここから抑えるとよいです。

・社会的包摂(ソーシャルインクルージョン)…昔から言われてますが、最近では性差や生活困窮的論点からも重要なテーマになってきています。性差がらみでは、バルネラビリティ等の用語もチェックしておきましょう。

・一億総活躍プラン…現況に照らして重要なものとはいいがたいですが、国試という特性上狙われやすいテーマでしょう。

・自殺対策基本法…社会的包摂にも関連しますが、これは自殺者数が減ってる増えてるみたいな統計問題は大体よくでますから今年六月くらいまでは見ておくとよいです。

では、次はレポートの例題を解答していきます。例題aはもううんざりなテーマですが、レポートとしてはよく出題されます。例題bは最近のテーマを選定してますので、内容もチェックしておきましょう。

例題a:福祉国家レジームにおける「社会民主主義レジーム」の特徴を挙げ、その代表的な国の高齢者福祉政策をまとめなさい。

解答例a:いまだに言われるスウェーデンの福祉についてです。社会民主主義レジームはレポート上は頻出テーマですが、試験問題では出題されませんので、飽き飽きしながらもおつきあいください。

社会民主主義レジームの典型例としては、スウェーデン、デンマーク、ノルウェーが挙げられる。このレジームは、普遍主義、リスクの包括的な社会化を志向している。社会民主主義レジーム諸国では、社会保障を受ける権利の基礎は個人の市民権にあるという考え方から、社会保障制度の基本理念として普遍主義を採用している。これは、高所得者であれ低所得者であれ、皆が同じ権利を持ち、同じ給付を受けるというものであり、普遍的な連帯を構築するために労働者階級と中間階級の間に二重構造が生じることを容認していない。また、家族や市場が福祉に果たす役割は小さく、国家が中心的役割を担っている。加えて、生活上のリスクを社会的な制度でカバーする範囲が広いため、社会保障給付(支出)の水準は高く、負担の水準も高い。さらに、他レジームに比べて現役世代への給付が手厚く、社会保障給付は現金給付よりも現物給付(金銭ではなくサービスの給付)が多いという特徴がある。以下、スウェーデンの高齢者福祉政策について記す。
スウェーデンでは、対人社会サービスは税(地方所得税)を基本とし、財政面からみても各自治体の政策は国から自立しているといえる。保健医療に関してはランスティング(日本の県に相当する広域自治体)、社会福祉(高齢者介護、障害者ケアや保育)に関してはコミューン(日本の市町村に相当する基礎的自治体)が、それぞれ財源措置・サービスの供給のいずれについても法的に責任を負っている。介護保険制度はないが、在宅介護サービスや介護付き住宅を利用する際にはコミューンの職員が介護サービス判定員として要介護認定にあたる。介護サービスには自己負担を伴うが、自己負担上限額(マックスタクサ)が同国の社会サービス法に規定されている。ランスティングについては、保健医療を国民に提供するために存在する自治体といっても過言ではなく、社会福祉などコミューンの責任とされる行政サービスとの重複はない。しかし、「ランスティング=保健医療」、「コミューン=社会福祉」という供給サイドの明確な切り分けが、社会的入院患者という問題を生んでいた(1990 年3 月で急性期病床の15 %を占めた)。エーデル改革では、財源問題を含むサービスの実施主体に関する制度面での対応と、サービス提供のあり方そのものに変革を加えるという機能面での対応が同時に行われた。具体的には、従来ランスティングが管理していたナーシングホームと訪問看護の権限をコミューンに移譲し、同時に治療が終了した高齢者の入院費用はランスティングに対してコミューンが支払うこととなり、社会的入院の解決もコミューンの責任となった。近年では、在宅高齢者に対する訪問医療を増やす必要性が生じているにも関わらず、訪問診療による医師の関与不足が課題となっている。(©mhotsuma 無断転載禁止)

例題b:「ヴァネラビリティ(バルネラビリティ)」を具体的な例を1つ挙げて、「社会的弱者」と「社会的包摂(ソーシャルインクルージョン)」の用語を使用して説明しなさい。

解答例b:最近の重要テーマです。

バルネラビリティ(vulnerability)とは脆弱性、傷つきやすさと訳し、障がい者、高齢者、生活困窮者、母子(父子)家庭等で、何らかの社会的・生活支援の必要とする層をいう。このような脆弱性をはらむ層に対する支援については、個別具体的な原因というよりも、社会的問題によるものと判断して、社会全体で解決していく姿勢が必要である。例えば高齢者に焦点を絞って考える。1997年以前、高齢者に関する生活支援のニーズが膨大なものであるとし、介護保険はその他インフォーマルサポート等の整備が急務とされてきた。これにより、1997年に介護保険法が制定され、2000年4月に施行されたことにより、介護保険を通じたサービスの契約を通じて本人の心身の脆弱性をフォローする仕組みづくりが社会的に進められてきた。定期的な法制度の見直しで、サービスの範囲の拡縮があり、より安心安全を保持できる法制度の仕組みと併せて、介護保険以外の社会的な支え合いのシステム化についても進められている。これらによって高齢者のシンプルな脆弱性である、心身の弱さに関するフォロー体制は一端落ち着くものと思われた。しかし、それを担う支援者側からの身体的、心理的、経済的側面からの虐待の実態が数多く上げられ、これに対する法制度の整備が必要であることが明白となった。当初着目していた脆弱性を起因とする新たな脆弱性の課題の発見であり、新たなバルネラビリティの発見ともいえる。これについては、2005年11月には、身体拘束も虐待のひとつと位置付けた「高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律(略称・高齢者虐待防止法)が制定され、翌年4月から施行された。同法第2条第3項で、高齢者虐待を「養護者による高齢者虐待及び要介護施設従事者等による高齢者虐待をいう」と定め、虐待者を養護者、要介護施設従事者等の2種類に分け、後項にて、虐待の種類を虐待者別に分類してあげている。このようにして、具体的な法制度の整備がバルネラビリティの一つである高齢者を社会的に保護することを後押しし、高齢者にまつわる課題を個別具体的なものに限定せず、全体的な課題として社会で包摂することが進んでいる。このようにして、一つのバルネラリビリティを基に新たな脆弱性を生むことは他の分野でも見られていて、従事する職員にとっては常に福祉的倫理観の意識と適時の見直しは必須である。近年では、バルネラビリティから保護とプライバシーの保護の優先度合いも福祉職に限らず議論の的となっている。2016年1月に開始されたマイナンバー制度により個人情報保護法も更新された。当初に法律で認められていた個人情報の有用性については、改正後の文言では経済性や生産性を重視しているとも思われる文言に変更されており、クライエントに必要な支援のための情報共有という視点が後退する懸念もある。(©mhotsuma 無断転載禁止)

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