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『相談援助の理論と方法』要点のつかみ方とレポートの書き方を解説!

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受験資格取得編
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今回は『相談援助の理論と方法』について解説していきます。

旧社会福祉士国家試験で援助技と呼ばれていた科目です。

論点が多く、難しいイメージですが、社会福祉士という資格の最重要科目ですので注意しましょう。実際の試験での出題は主に事例で、基本的に易しく、最重要科目としてここは落としてはいけない科目ともいえるでしょう。

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『相談援助の理論と方法』(要点)

援助技術から名称が変更となったのは、ぶつ切りのアプローチ技術を見聞きして知っているだけでは皆目役に立ちませんよという意味も含められています。

ですから、例えばストレングスモデル→みんなを元気にする!プラスを見て伸ばす手法!等と適当に捉えていては、深く練りこまれた事例には対応できないし、もしこれで試験がなんとかなったとしても、この温度感で相談に乗られてしまうと勘違い相談員となってしまい、クライエントに害ですらあります。気を付けましょう。

そもそも、なんとなく使っている『モデル』と『アプローチ』の違いがわかりますか?

ストレングスモデルと診断主義を相反するものと捉えてませんか?

等、細かい手法や主義の相互性についても考える機会としましょう。暗記する科目ではないので、一つ一つの手法を端的に言えるとかはほぼ役に立ちません。例題を中心に見ていきましょう。

例題a:子ども虐待の防止について、治療モデルとストレングスモデルそれぞれによる捉え方を示し、どのように支援するかについて論じなさい。

こういう『論じなさい』という問題が出されたときに、フツーに説明する人がいます。それは論じてはいません。論じる、とは簡単に言えば、自分の支持する意見の反対意見を出して、それと比較検討して〇〇だから自分はこう思うといった書き方で表現されます。このあたりの初歩的なところで、レポートを減点されてはもったいないので、初めのうちは文末までしっかり読んで何を求められているか理解した上で記述を始めましょう。

作成例a:治療モデルとストレングスモデルは対局するのでなく、相互性のあるもの

子どもの虐待の防止に対し、治療モデルの捉え方では虐待の原因はどこにあるのか、親の成育歴、関わり方の原因、子の発達課題上の課題等に着目してより具体的に考え、その知見を増大させるプロセスが重要視される。他方でストレングスモデルの中では、対象となる親子(以下、親子と称する)に着目し、親子が今ある現状の中で気持ちに着目し、ソーシャルワーカーとの語りの中でその差異に自ら気づき、自らが強度を持ち合わせていることに気づくことで、行動を変容する可能性について察知するプロセスを重要視する。一見すると、これら二つのモデルは診断主義的であるとか、親子の特性を無視していると見られ、対立的な立場と見える。
しかし、課題とされる虐待の防止において、治療モデルに見える親子が虐待に至る、もしくはその危機に迫る状況を客観的事実を基に特定し、次の展開を考えて善処していくことは、ソーシャルワーカーがクライエントである親子に対応するものとして必要不可欠なものであるし、虐待という課題以前から存在する親子の気持ちに着目し、現状の課題に対する親子の気持ちの本来的気づきに向けて関わるプロセスは併行するものであり、両モデルは相互性の高いものである。したがって、親子を支援していくプロセスにおいては、両モデルを混成活用した支援を行っていく必要がある。例えば、虐待として通報の対象となった親子がいるとすれば、家庭訪問等の手法で親子と接触する時間を確保し、上述にも触れた、虐待が成立する状況もしくはそれに至る危機的な事由について分析することが必要である。親の主訴を聞きつつ、今の関わりや親子の成育歴、子の発達課題にも着目して、今の状況の改善を目指していく必要がある。これに付随する課題として、子に不登校があるとすれば、その理由を聞き、学校に行かないという強い決心を抱えた気持ちと、社会一般的に不登校であることに後ろめたさを感じる弱い気持ちの差異について本人との会話の中で気づきを与え、本人にその気持ちの差異の中で行動変容を促すといった関わりが考えられる。外面的な部分と親子としての内在的な部分のアプローチを両立していくことに、本人らの自我が存在している学校や病院、職場等での本人の有りかたをより存在的に問う「生活モデル」を関わりとして加えることで、3つのモデルを混成的に活用していくジェネラリストソーシャルワークが、わが国のソーシャルワーク実践において重要視されているといえる。

例題b:ソーシャルワークの面接プロセスについて整理し、用いられる技術とその必要性について論じなさい。

作成例b:基本姿勢・工程の説明→後半の技術面でやや苦しいながらも少しだけ論じる風を表現。

ソーシャルワーカーとしてクライエントとの面接では、今後の目的を意識し、意図した会話にならなければならない。ソーシャルワーク実践が説明可能なものとなるよう、過去の先人たちが確立してきた理論や技術を駆使しながら意識的にクライエントとの会話をすることが目的達成に向けての近道である。面接のプロセスとしては以下の流れである。
(1).インテーク
クライエントの主訴を把握し、サービス提供に該当するか判断をする。
(2).アセスメント
クライエントの情報を収集し、問題解決への方向性を検討、目標設定をクライエントと共に考える。
(3).個別支援計画作成(プランニング)
具体的な支援方法を計画する。
(4).介入(インターベンション)
アプローチや援助方法を用いて援助活動を行う。
(5).モニタリング
提供した援助内容の確認を行い、必要に応じて再度アセスメントや目標設定を行う。
(6).評価(エバリュエーション)
事後評価としてサービスの効果を査定する。
(7).フォローアップ
支援の終了を指し、その後の状況を確認して問題の再発防止や新たな問題の予防に努める。
特に初めてクライエントと出会うインテーク段階では関係形成に注力する必要がある。インテークにおいては、その来談理由を見逃さず、面談そのものが自主的なものか受動的なものなのかによっても面接方法を選定していく必要がある。また、その手法も相手の理解能力やADL等の状況によって対面、電話、FAX、手紙など合理的なものをケースによって考える必要がある。
面接時により意識する必要があるのはバイスティックの原則である。初対面の人物に警戒心が働くのは当たり前であるが、ソーシャルワーカーが関係形成の段階で会話が不可能な程に警戒されてしまっては支援が開始されない。よってソーシャルワーカーはクライエントに危害を加えないこと、プライバシーを尊重することや守秘義務を守るを初回時だけでなく、回数を重ねた面接時にも、声、表情、振る舞い等の非言語で伝え、誠意を伝えていく必要がある。また、クライエントの自己決定を促す為にもソーシャルワーカーは傾聴の姿勢を取り、クライエントの現状のみで判断することなく、ナラティブアプローチによる生育歴なども考慮して受容することで、クライエントが自らの問題を把握できる環境を整えることが必要である。
またそのほかにも医学モデルやストレングスモデル、エコロジカルアプローチなどを用いて、多面的に原因や課題の探求していくことが望ましい。しかしこのように根本から人を知る事は時間がかかるものである。現状では一人のクライエントに何時間も面接時間を割く事ができず、今後はソリューション・フォーカスト・アプローチのような短期集中型の支援法が確立されつつある。ただ、私は支援の根幹は本人の生きる力の自発的回復と、中長期的な安定を視野におき支援を進めていくことが重要と考えている。

例題c:ソーシャルワークのミクロ・メゾ・マクロ実践の考え方を整理し、それらの関連性について論じなさい。

作成例c:ミクロ、メゾ、マクロの基本的な事項を羅列する。今回作成のレポートでは反対意見というよりも、現状との乖離をテーマに表現した

これまでソーシャルワークは個別支援を中心とするソーシャルケースワークを軸とした社会福祉援助技術を中心に展開し、その中で、対象となるクライアントについても個別・小規模の単位で分けて理解され、捉えられてきた。しかし、これが進むにつれ、個別及び小規模の集団が抱えている問題や課題が長期的な視点で解決解消に向かう必要性が発生した。これによってソーシャルワークの在り方もより広い視点(ミクロ、ミゾ、マクロレベルでの実践)へと移行していく必要に迫られた。ミクロレベルは、主に対人支援による実践であり、対象となる個人や家族、時には小集団のニーズが含まれる。人々が課題やニーズに対応する力をつける支援に焦点があたる。メゾレベルは、組織と地域のレベルの実践である。福祉機関やサービス運営、地域福祉活動などが含まれる。組織や地域のもてる資源を活用し、福祉やサービス水準を高めるために、ニーズの集約や合意形成などに焦点があたる。マクロレベルは、制度や政策の策定や計画実施など国や世界レベルの実践でもある。国民個々のニーズよりも、全体の福祉水準、ナショナル・ミニマムに焦点があたる。ミクロレベルの個々のニーズは多様であり、ニーズ充足のために必要な影響を与える対象が必ずしもクライエント個人ではない場合もあるため個別対応には限界もある。メゾレベルにおいては、個々のニーズを集約後、効率的な支援やサービス体制によってその充足を図る。組織レベルでは集団プログラムや施設ケアサービスとして対応し、地域レベルでもチームや組織間連携等によって対応し、行政によって効果性を高める。サービス利用者やプログラム参加者、地域住民は、これらの支援やサービスの成果を享受するとともに、参画主体とも捉えられる。加えて、組織や地域の特性や構造、文化やインフォーマルサポートなどの要素も含めて、メゾレベルの実践の目標や効果性が考えられる。ただし福祉の支援やサービスが、誰にとっても活用可能性があり、参画されるものになるためには、一般化された支援やサービスのしくみや基準が必要となる。そこでマクロレベルでは、国の社会福祉制度、政策として、しくみが構築される。ソーシャルワーカーはクライエントから表明されたニーズに対して、上述のどのレベルでの実践が必要なのか把握が必要になる。しかし、支援を必要とする人がみずからそれを申し出ることができるとは限らないことを考慮すると、ソーシャルワーカーには積極的にニーズをキャッチする姿勢も求められる。ただ、対象特性ごとに実践分野や構成を検討し援助技術を使い分けるだけでは、問題ごとに焦点化して援助する域を出ず、かえって対応の柔軟性を欠く懸念もある。この流れから1990年代以降は、ジェネラル・ソーシャルワークが日本でも紹介され、従来の特性ごとの検討に加え人間と環境との相互作用について情報を加えた展開を期待されている。

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